もし生きてる自分に会えることができるとしたら、あなたは何を伝わるか?

十三²(twitter:@Aassiill1313)先生の作成途中のラフを拝見した後、

ある物語がふっと過ぎった。

「生と死の彼岸を跨いてでも、翼を羽ばたいてあなたの元へ」。

この起きたことのない物語を述べさせていただきます。

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「崩壊」能力の元で、乙坂歩未はこの世を去った。

このまま死んでゆくはずの彼女だったが、強い想いを抱えながら死後の世界に留まり、行くあてのない毎日を送っていた。

ーー死んだ世界戦線の助けによりある日、すべてを思い出すまでは。

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想いの力によって、死後の世界から歩未が消え去り、

翼の生えた天使のように、

妹をなくして退廃的な生活を過ごしている乙坂有宇の元へ飛んでいった。

だが、誰も彼女を見えない。

毎日適当にカップラーメンを食べて痩せていく有宇を見て、

歩未は無意識に自分の一番得意なオムライスを作ってあげようと思ったら、

ピザソースを持つことさえもできなかった。

最愛の兄の懐に飛び込みたいのに、どうしても触れることができなくて。

彼女は目の見えないところで、兄を見つめることしかできなかった。

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そして、奈緒が有宇の目を呼び覚ますのを目撃し、安心した。

「よかった。わたしがいなくとも、お兄ちゃんは一人じゃないんだ。」

歩未はそう思いながら、兄が「タイムリープ」の力を手に入れるまで伴い、

時空を超えて、自分が生きてる時間に戻ることができた。

兄が記憶の中の英雄みたいに自分を救うのを見て、

彼女は微笑んだ。

手を差し伸べ、生きている自分を掴めようと。

「届けますか?届けたらいいな。」

なぜか有宇は振り向く。

彼が見たのは、歩未の手のひらの雪のように白い羽根と、からっぽの空。

「…オムライス、食べたくなってきたな。」

「お家帰りましょう、お兄ちゃん。」

文:大鸟咲夜

訳:kanachan

Last modified: 2020年7月30日

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